卒業設計『未練の残る街』

身近にある思い入れのあるものを保存したいという衝動によく駆られる。その保存欲求の要因の一つは「未練」であると言えるのではないだろうか。
しかし、それらの様々な保存行為に窮屈さを感じており、それは建築に対する敷地のあり方や保存行為も同様である。
私は生活のコンテクストである建築が構成する街並みや暮らしの記憶など、新旧関係なく固有の未練も掬い取るべきだと考えている。
この設計ではそれらを建築として可視化し、プログラムを加え街に馴染むことで、建築本体の消失後も未練がひとときでも長く宿存することを理想としている。